プロレス戦国伝

週刊プロレス監修 プロレス戦国伝

(株)ケイエスエス / 1997年発売 / PlayStation


本作の醍醐味は「日本プロレス史の体感」と「日本プロレス史への挑戦」。

日本プロレス界40年の歴史を完全シミュレートした世界を舞台に、プレイヤーは自らの手で新たな伝説を創造可能。タイトルマッチや団体対抗戦、異種格闘技など多種多様なイベントが発生。海外修行や個別特訓、引き抜きや殴り込み、怪我や引退といった人間模様も余すことなく。プロレスファンのバイブル「週刊プロレス」が監修している事で、そういった様々が「週刊プロレス」の表紙をイメージしたビジュアルで表現されるというニクい演出も。


色褪せぬシナオリ面に対してシステム面は「試合は全てポリゴン処理で様々な角度から観戦可能!実況はテレビ中継さながらの肉声で臨場感を再現!」といった発売当時の触れ込みが全く通用しないのは折り込み済み。「20世紀末の最先端が乙!今となっては逆にノルタルジックに新鮮!」といったところが精一杯。


兎に角、本作の魅力は「自らの手で新たな伝説を創造」の一言に尽き、ゲームの真髄を「想像遊びを補完するモノ」とするのであれば(または、それをゲームに求める人にとっては)、歴史的傑作である事に疑いなし。

考えてみれば、元々が虚構と誇張の濁流が如きプロレス史なるものが、可変な仮想世界との相性が抜群なのは当然であり、そこに目をつけた本作が不朽の名作となったのは必然か。



▼ 関連余談

  • 全ての登場選手に実在のレスラーや格闘家のモデルが存在する模様。極めてマニアックなケースもあり、プロレスファンの間では「全モデルを推理するのはムリ」とされてきた(今よりインターネットが普及していなかった時代背景もあり)。そんな歴史に埋もれた難問に挑んでみた。
    ※登場選手モデル推理はコチラ > 黎明期編, ​異種格闘時代, ​多団体時代
  • 続編「プロレス戦国伝2 格闘絵巻」はスキップ機能を廃止、全試合を強制観戦という信じ難い改悪がなされたという噂。それを起因にではなかろうが、プロレス戦国伝シリーズの発売元であった株式会社ケイエスエスは「現在、企業としての活動実態は不明」との事。
  • 「最強論 演義」における「伝暦」は、本作のゲーム内年表を元ネタにしていると思われる。そもそも演義とは「誰かが自らの手で新たな伝説を創造した結果」であり、本作が原点、または、補助的な役割を果たした可能性は否めない。

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